「slowboatを始めたきっかけと経緯を教えてください。」
最初は、学生のたまり場を作ろうと言って始めました。そして、お店をやっていくうちにslowboatが、この辺に住んでいる地域の方々や学生たちにとってコミュニケーションをとる場になったらいいなって思うようになりました。今では、美大生や学生なりが飲んでいて、そこに酔っぱらいのおじさんがやって来て、会話が始まるっていう光景は見られます。
今運営をしている13人のメンバーは、自然と集まったという感じです。slowboatをスタートしたきっかけが、この地域の「多摩のよこやま」というお祭りなんです。お祭りではオープンギャラリーみたいなこととかいくつか企画があったんですけど、僕らはカフェをやりたいって言ってやったんです。そこから友達づてに自然とメンバーが集まってslowboatを立ち上げたという感じですね。
「[slowboat]というカフェの名前の由来は何ですか。」
― Jazzの曲で「slowboat to China」という曲があるんです。その曲の内容が、ヨーロッパ人が東洋に憧れているというものなんですね。ヨーロッパ人は東洋に行けば今の忙しい暮らしを抜け出した理想の生活があると思っていたらしいんです。その東洋に向かってゆっくりゆっくり進んでいく船を「slowboat」と呼ぶんです。のんびりやっていこうよ、という意味合いも込めて、そこから名前をもらいました。
「お店のコンセプトは何ですか。」
― 多分美大生だったら、みんなおしゃれなカフェを作ろうとすると思うんですよ。でもslowboatはそうではなくて、コミュニケーションの中心になるような場所にしたいと思ったんです。例えば何か発信したい人がいたら、僕らがそれを受け止めて、発信の中心となるところにしたい。そういう機会を邪魔しないように内装も奇抜にしていません。
「slowboatを立ち上げる上で大変だったことはありますか。」
― 冷蔵庫をいただいたんですけど、冷蔵庫をパイプから外す際水道管を破壊してしまったり(笑)。一番大変だったのは物質的なモノよりメンバー13人の意見がなかなかまとまらないことでした。13人いれば13通りの価値観がありますし。意見がまとまらないときは、絶対に自分の考えを譲らないやつがプレゼンをしてみんなを納得させたり、多数決をしたりして解決していました。
あとは、slowboatを開店する場所を探すのが大変でした。ここ以外にも候補が二、三店あったんですよ。学生が商売をすることやお酒を提供することにすごく抵抗を持つ大家さんがいたりしました。だからここがベストというわけではなくて、ここでやっと許可がおりたという感じですね。場所はそんなに重要ではないと思いここで始めました。
slowboatを立ち上げてから実感するのは、お店は作るまでより作ってからのほうが大変だな、ということです。それは経営の面や、隣とか近所の方と上手い関係を築くことですね。
「slowboatを始めてから何か変化したことはありますか。」
― 自分が今まで狭い世界で生きていたんだな、と思いますね。学生だと、やっぱり一番会話をするのって、ある程度年も一緒で似たような価値観を持っている人たちの中でしていますよね。でもslowboatを始めてからは年も価値観も違う人たちと話すようになって、発見がいっぱいありました。
「slowboatは美大の生活と直結して考えてやっているのですか。それとも切り離して考えてやっているのですか。」
人によって違いますけど、割とみんな直結しているのかもしれない。例えば、インテリア専攻の学生にしてみれば、学校の課題では模型だったりCGだったりで、想定として表現するしかできないんですよ。実際にイメージしたものを等身大で表現できるチャンスはなかなかないんです。コミュニケーションデザインという分野を勉強している人たちにとっても、どうすればコミュニケーションがとりやすいとか、メニューでこれがあればこういう話題が生まれるとか・・。あんまり意識はしてないけれど、直結しているのかもしれないです。
「slowboatに来た人にこういう風に思って欲しいというのはありますか。」
― 人ぞれぞれという感じですかね。slowboatを「こういう風に使って欲しい」っていう、押しつけがましいことはしていません。来た人が好きに使ってくれればいいと思います。僕と同じマンションに住んでいるお医者さんがいるんですけど、その人が病院の同僚を30人位連れてきて貸切でパーティをしたんですよ。そういう風に使ってもいいし、読書をするには最高の空間とて言ってくれる人もいます。
「これからの展望というのはありますか。」
― 今slowboatを運営しているメンバーに4年生が何人かいるんですけど、1年以内に抜けてしまうんです。そしたら下の学年たちの子を呼んで、受け継いでいこうと思っているんですよ。10年後とかにここに帰ってきてslowboatがまだあったらいいよな、って思います。
「何かこれから新しいことを始める学生にメッセージをお願いします。」
― 自分らしくわがままであってください。他を見るな。
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